c5n's i18n

Webサービスの多言語化について書きたいとは思っています。

「シブヤクハック」で渋谷区のゴミ問題をハックしてきました!(前編)

Microsoft主催のハッカソンイベント「シブヤクハック」に参加してきました!

このハッカソンは、渋谷区が抱えるいくつかの課題に対し、MicrosoftのAzureを中心とした各種技術を使ってアイデアを検討・実現しよう、というイベントです。

このハッカソンには一般の開発者だけでなく、なんと渋谷区役所の職員の方Microsoft MVPの方、そしてもちろんMicrosoftの技術者の方も一緒になってグループでハックする、というのがとてもユニークで面白いイベントでした。

僕はといえばハッカソン初参加だということも忘れて勢いで通称「ゴミチーム」のリーダーをさせていただき、初日と最後の成果発表でしゃべらせていただいてしまいました。

緊張しましたが、最終的には投票2位に入れたこと、最後の澤田副区長の総評でアイデアに対して好評をいただけたことなどもあり、とても楽しいハッカソンでした!

また今回、Azureをちゃんと目的を持って使うことができたことも、技術的にもとても勉強になりました。

さて、このエントリではそんな「シブヤクハック」を、僕の目線から時系列で振り返ってみたいと思います。

概要

シブヤクハックの公式ページはこちらです。

www.shibuyaku-hack.tech

このページの下の方に渋谷区役所の職員の方々が事前にブレストした(「ブレスト」自体があまりない体験だったとか、、、!)結果挙げられた課題23個が掲載されているのですが、僕たちゴミチームはこの中の10番目「街でゴミを捨てる場所、設置状況を皆知らない。結果としてポイ捨てが減らない」をターゲットにハッカソンを開始しました。

その結果生まれたアイデアはHacklogにアップしてあります。

hacklog.jp

1日目

初日(3/23 18:00〜22:00)は参加者が渋谷区の課題を理解し、グループに分かれてそれを解決するアイデアを考える、いわゆる「アイデアソン」の時間でした。

僕たち「ゴミチーム」は、一般の開発者として僕と noriさん、技術サポートにMVP for Windows Developmentの瀬尾さん、そして渋谷区職員の宮島さんの4人チームで、渋谷区のポイ捨て問題をターゲットにしました。

課題を深堀する

話をしているうちに、以下の3つの問題が重要なポイントだということが見えてきました。

ゴミのポイ捨てはソフトウェアで解決できる課題なのか?問題

ゴミのポイ捨て問題は言うまでもなく物理的な問題です。 そのためこれを解決するためには最終的にゴミ箱の設置場所、設置時期を工夫する等物理的な対策が必要になります。

つまり我々エンジニアがWebアプリやスマートフォンアプリを作っただけではゴミ問題の解決は難しいことが予想されます。 ハッカソンとして、技術「だけ」で渋谷区から路上のゴミを一掃することは現実的ではなく、この問題を解決するための別の観点でのアイデアの検討が必要でした。

ゴミのポイ捨ては本当に課題なのか?問題

この問題は区役所の職員の方が会議室で話している中で出てきた課題です。つまりネガティブな言い方をすると「イメージだけで話している」可能性がある、と言えます。

特に渋谷区は渋谷駅を抱えており、渋谷駅周辺はハロウィンなどのイベントがあると人が殺到してゴミ箱があふれ、ゴミのポイ捨てが問題になる、という事情がある区です。

ハロウィンの後のゴミのイメージはたしかに強烈ですが、冷静に考えるとそんな規模のイベントは年に数回もなく、それ以外の日にゴミのポイ捨てが本当に問題になっているのか、また駅から少し離れた地区でも同じ問題が発生しているのか、などがまだイメージの域を出ない状態で、現状の正確な把握が必要である状況が見えてきました。

ゴミ箱はそんなに簡単に設置できない問題

実際にゴミ箱を増設することを考えた場合、渋谷区が設置できるゴミ箱の数には限界があります。 国道・都道は国や都の持ち物であり、そこに区が新しくゴミ箱を設置するにはそれなりの交渉や時間が必要になるためです。

もちろん区が管理する土地であればゴミ箱は比較的楽に設置できるのですが、現状ではそれは公園など街の一部に限られているようでした。 ゴミを捨てたいためだけに公園に向かう、という人はそう多くないでしょう。

スコープを定義する

以上のことから、僕たちゴミチームは今回のハッカソンで「ゴミをなくす」ではなく、「ゴミ問題の現状を正確に把握する」ことを今回のスコープとして定めました。

先ほど書いたとおり、ソフトウェアは物理的な問題を解決するには力不足な一方で、「情報」を整理してユーザーに提供することに関しては最適な手段です。今回のハッカソンではゴミ問題の現状を正確に把握できるソフトウェアを開発し、そこで得られた情報を元に次のフェーズで区の職員の方々が物理的な施策を検討する、という流れでアイデアをブラッシュアップすることになりました。

その結果まとまったのが、先ほどのHacklogです。

hacklog.jp

街ゆく人がTwitter等のSNSに渋谷区の路上を撮影したくなる仕組みを作り(今回は「キャッチーなハッシュタグ」を検討しました)、その投稿データや写真から「いつ」「どこで」「どのくらい」ゴミが捨てられているのかを解析します。

解析したデータを地図やグラフにプロットして可視化することで、区の職員が手軽にデータを閲覧し、それを見ながら次の具体的・物理的なアクションを検討できるようにしよう、というものです。

発表する

以上のアイデアがまとめられ、ちょっとした技術的な検討を始めたところで時間終了。中間発表の時間になりました。

僕がしゃべらせてもらった発表は可もなく不可もなく(どちらかというと言い忘れた部分がいくつもあった記憶でしたが)、それよりも発表がニコ生で中継されていることで頭がいっぱいでした。

ちょまどさん効果もあってか、その日の視聴者数はなんと3, 4時間ほどで1万人超えだったとか!

会場は2, 30人そこらの小さな部屋だったのですが、仰々しいカメラとその先で見ている視聴者の方々のことを考えると、今までにないくらいの大舞台で発表した気分でした。

まあ言い忘れなどはありましたが、そこは明日の実装と成果発表で挽回ということで、残りの時間をもう少し実装方法の検討に使って1日目は終了でした。


ここまで、Microsoft主催のハッカソン「シブヤクハック」の僕の1日目について振り返りました。

ハッカソンもニコ生も行政の課題も、どれも初めての体験だらけではありましたが、とても良い議論と良いアイデアを出せたことは大きな成果だったと思います。チームメンバーの方もとても話がしやすく、どんどんアイデアをより良いものにすることができました。

ここから2日目、怒涛の実装に入るのですが、長くなってしまったので続きは後編で書きたいと思います。

後編ではAzureの各プロダクトを使ったアイデアの実装とその成果発表、投票の様子などを書きたいと思います。


(宣伝)

プロフィール欄にも書いていますが、僕はフリーランスエンジニアとしてWebサービスの開発を仕事にしています。

渋谷区生まれ渋谷区育ち、両親祖父母が現在も渋谷区在住の身として、今回のハッカソンで検討した課題はどれも他人事ではない問題ですので、今回のアイデアを形にする際はぜひお仕事のご連絡をいただければ嬉しく思います。